教会用語に関する解説

教会的用語についての私的解釈？」　第１０回　「ついていない」と信仰

　先日、昔、属していた神戸の教会から月報が送られてきましたが、その中にとても面白い証しが載っていました。

　要約すると1月5日の仕事始めに出勤し、夜１０時頃、健康のために乗っていた自転車で帰宅途中、車に跳ねられ、病院に行くと左肩を複雑骨折し手術をする事になった。すると外科部長がやってきて「腕の動く範囲は、小さくなりますが、もう高齢なのであえて手術をしなくても骨は付きます」と言われ、「私は、まだ５０代だし腕が上がらなくなるのは困る」と思っていたら他の先生がやってきて「申し訳ない、今の話は忘れて下さい」と出て行った。どうやら同じ苗字の人が隣のベッドに寝ていて、その人も同じ場所を骨折したらしい。

　翌日、手術のために点滴をする事になり、新人の看護師さんが来て、点滴が入らず長い時間をかけて、やっと終了した。ところが、手術をする方に点滴をしてしまったのでやり直す事になり、いくらやっても針が入らず、ついにベテランさんが呼ばれてやっと終了した。更に全身麻酔の際に喉に管を通すが、救急隊の経験のための実験台になってくれと頼まれ承諾した。

　この方は、「健康の時には気付かない色々な事を病院で見聞きし、神様にその貴重な体験を与えられた事を感謝する」と締めくくっていた。でも、多分、この方も今だから笑って書けるけど当座は、かなりショックだったろうなあと想像しました。私たちの人生には、時折、「何でこんな事が起こるのだ、何と自分は、ついていないのか」と苛立つ様な経験をする事が起こります。

　何故、何か不運な事が起こると「ついていない」と思うのかと言えば、この世の中には、誰もが羨むほど、ラッキーな人がいるからです。私の妹がまさにそうでした。懸賞に応募すればかならず特等で私は、いつも外れ、おみくじを引くと妹は大吉で私は良くても小吉どまり。受験でも妹が青森の高校から都立校に編入試験を受ける際、３流校には、落ちたのに１流校には、受かり、しかも、何も学んでいない教科があったのに合格してしまいました。

　そんな訳でクリスチャンになる前の私は、「妹はラッキー、でも自分の人生は外れ」だと思っていました。しかし、クリスチャンになり「ついている、ついていない」と言う発想は、なくなりました。何故なら、一見、ついていない様に思える事の背後にも神様の現実的な関与と働きを感じる事が出来るからです。

　毎年、お正月になると多くの人は、普段行かない神社に出掛けて、おみくじを買ったり、お札をもらって今年１年の幸いを求めます。でも、人間的にどんなに努力しても又、真面目にちゃんと頑張って生きていても不運としか思えない様な事が私たちの身にしばしば起こります。

　そんな時、「幸運から見放された。何とついていない人生なのだ。」と嘆いて周囲に当たり散らすか、この不運な出来事の背後にも神様の何らかの意図があり、私たちを愛して下さっている神様が私を捨て置かれる事はないと信じて生きていくか・・・人生の分かれ道だと思います。

教会的用語についての私的解釈？」　第９回　クリスマスの意義

　私のクリスマスの思い出を通して私なりに感じるクリスマスの意義を書いてみたいと思います。私が明確に覚えているクリスマスの最初の思い出は札幌にいた幼稚園の頃です。クリスマスが近づくと向かいの家の佐藤さんのおじいさんが鐘やツリーやサンタの形をした３色アイスをたくさん届けてくれました。私にとっては、クリスマス＝３色アイスでした。釧路に引っ越した後、佐藤さんのおじいさんが実は、雪印乳業の社長さんでクリスチャンなのでクリスマスに特別なこのアイスを作らせていた事を知りました。多分、冷凍庫が普及していなかったので売れなかったらしく販売していたのはごく僅かな期間だったようですが、札幌の雪印ミュージアムに行った折、このアイスの型が展示されているのを見て、改めて佐藤さんのおじいさんがご自分の信仰の証としてこれを作らせたのだと感動しました。

　次にクリスマスに関して強力に印象に残っているのは、高校生の時、ものみの塔（エホバの証人）の学びをしていた時です。ものみの塔の本の中では「１２月２５日はキリストの誕生日ではありません。だからお祝いするのはおかしい」と書かれていました。そして既存の教会を攻撃する材料の１つにこのクリスマスが挙げられていました。その時の私は、「クリスマスを祝っちゃだめだと言われてもあまり納得、出来ないし誕生の日時がそんなに大事な事だろうか」と思っていました。

　やがてクリスチャンになった時、「聖書には、キリストの誕生がいつだとはどこにも書かれていません。第一、１２月の寒い時に野原で「教会的用語についての私的解釈？」第９回「クリスマスの意義」第１9巻第09号 Page 3 羊飼いが野宿して羊の番をしていたら凍死してしまいます。」と聞いた時、思わず笑ってしまいました。

　実際、キリストの誕生を１２月２５日にしたのは、何世紀も後の事です。多分、１２月２５日にしたのは、異教の人々にキリスト教の信仰に入ってもらうため当時、一般化していた冬至の祭りと合体させたようです。又、今年は２０２１年ですがこの紀元後２０２１年と言うのもキリストの生誕を基準にしていて誕生されてから２０２１年目だと言う事になります。しかし聖書に書かれている事から推測すると実際の誕生はそれより４年ぐらい誤差があると言われています。

　実際は、ものみの塔の批判の方が事実に近いのですが、何しろ２千年以上も前の事です（日本なら弥生時代です。）から日時を明確にする事よりキリストの誕生が歴史的事実だと言う事の方が大事だと私は、思います。

　少なくも２千年以上前に創造主なる神が、ご自分を無視して滅びの道を歩む人間をほっとおく事が出来ず、その一人子であるキリストを赤ん坊の姿でこの世界に贈られ、救いの道を開いて下さった。この事が重要です。もし、この方が来られなかったら私たち人類には、今なお、何の希望も与えられなかったからです。

　この事実を覚えて救い主なるキリストの誕生を感謝する事がクリスマスの意義だと思います。ぜひ、クリスマスケーキを食べながら神様の人知を超えた深い愛を少しでも感じて頂ければ、嬉しいです。

「教会的用語についての私的解釈？」　第８回　罪人とは

　私は、キリスト教とは全く無縁の環境に生まれましたが、何故かどこへ行っても私の周囲にクリスチャンが現れ教会へと誘そってくれるので幼い時から私にとって教会はとても居心地の良い場所でした。ただ、たった１つだけ気に入らない事がありました。それは、友人や教会の人たちが私に「人間って本当に罪人だよね」と繰り返し言うのです。

　私は、「全く罪はないとは言わないけど少なくとも私は、良い人間の方だし小さな事まで大袈裟に罪だと言っていたら生きていられない」と反論していました。当時の私にとっては、罪には、大小があり軽い重いの区別があると思っていました。高校卒業後、母の実家である寺に住み大学に通い出すと教会への興味を全く、失いました。大学は極端に女性が少なく各サークルは、今で言うイケメンの学生を使って女学生を勧誘していました。私にも郷ひろみ似の学生が「僕が感動した『氷点』と言うこの本をぜひ、君にも読んでもらいたい」と近づいてきました。

　その本を見た私は、「何であのダサいおばさんの本を東京まで来て読まなければならないの」と思いました。何故なら高校時代、その本の著者である三浦綾子さんと同じ教会に行っていた事もあり、題材が原罪の本なんって興味がなかったからです。でも、女の子を誘うのに何故、「氷点」なのかを知りたくてそのサークルに入りました。そのサークルは、「赤十字奉仕団」と言うボランティア活動を中心とする善良な人の集まりの筈でしたが、実際は、看護学科の女子大と合宿をしては、同棲を繰り返す凄まじく、ふしだらな集団でした。私は彼らがやっている愛に満ちた行動と実際の生活のギャップに混乱しきっと真面目な人の集団だと思って別のサークルにも加入しました。そこは、司法試験を目指し毎年、そのメンバーの３分の１は合格すると言う勉強中心のサークルでしたが、そこも似たようなもので先輩が私に「自分が司法試験に合格できそうになかったら今のうちに合格出来そうな男を見つけて関係を持った方が良い」と真顔で言うのです。このサークルの人たちの価値観は「司法試験に合格出来るかどうか」だけでした。

　私は、「人間の罪深さは外からでは決して分からないが、少なくとも自分だけは、良い人間として生きていこう」と決心しました。そんな時、１枚のキリスト教のちらしをもらい義理でその集まりに出る事になり、そこで何と大嫌いな人間の罪深さについてのお話を聞く事になりました。早く帰りたいと思っていると牧師が最後に１つのたとえを語りました。そしてその話を聞いているうちに何故か、「私は、もしかすると自分が思っているより良い人間ではないのかもしれない。人の前では他人の悪口は言わないが内心では、同じサークルの人たちを軽蔑しバカにしている。まさに嘘つきそのものだ。罪は大小でも軽重でもなく神様の聖い、曇りのない目で見たらすべて同罪だ」と気付いたのです。そして、その晩、私は、自らの罪を悔い改め、その罪を赦すために十字架に架かり死んで下さったキリストを救い主として受け入れました。これが私が長い間、理解出来なかった「罪びと」の意味を初めて知った瞬間でした。

「教会的用語についての私的解釈？」　第７回　聖・福音・恵み

　我が家は、名前を聞かれるたび、特殊な経験をします。初めての人に電話を掛けて名前を名乗ると殆どの人は、初めて聞く音の響きに戸惑うのか聞き返し、それに答えると電話口から「何だかわからない人から電話だよ」と言っている声が聞こえてきます。又、直接、会っている場合は、「え？」と何度も言われた後、漢字を聞かれ西郷さんの「ごう」や故郷の「きょう」ですと答えると殆どの人は、「え？」と言う反応になるので「郷ひろみ」の「ごう」ですと伝えます。

　珍しい苗字だと毎回、こんな面倒な事が起こりますが、それでもまだ「日本人だ」とは、判るみたいですが、外国だと殆ど日本人だとは思ってもらえず、大抵、「夫が外国人（特にスペイン人）なんだ」と理解されてしまいます。なぜ、こんな事を最初に書くのかと言うと教会外の人にキリスト教や聖書に関わる言葉を伝えようとすると我が家の苗字と同じ様な事が起こるのです。

　例えば、教会名を伝える時、「日立福音」まで来ると殆どの人は「ふくいん」と言う文字をどう書くのか分かりません。それで「幸福の『福』と音楽の『音』です。２つ合わせて「幸せなおとずれ」と言う意味で・・」と私は、説明をする事になります。通常は、相手も時間がないのでこれ以上の説明は、出来ませんが、余裕がある時は、「聖書の教えが私たち人類にとっては、『良き知らせ』なので福音と言うのですよ」と説明します。

　もう１つ、特殊な用語が「聖」という字です。さしずめ、現代だと「聖」と言う字を聞かれたら松田聖子の「聖」と言えば、通じてしまいますが、この「聖」を「きよい」と言う意味で（聖書＝きよい書物）日常的に使うのは、教会だけだと思います。何故なら、通常「きよい」と言う場合は「清い」を用いるからです。そのため、文章を打っている時は、単語登録をしていないと変換作業が面倒になります。こんな事を考えると普通の感覚では理解できない教会独特な言葉が他にもたくさんあります。例えば、クリスチャンは「神の恵み」と言う言葉をよく使いますが一般の人には、「何か『ごりやく』があったのかなあ」と思うのではないでしょうか。

　でも、この「恵み」と言う言葉は、「本来ならそれを得るような事は、何もしていない（神様からのご褒美をもらえるような事は一切していない）のに神様の方から一方的に祝福をしてもらった」と言う意味なのです。

　そして、クリスチャンにとっての最大の恵みは、「本来なら神様に子供として見て頂けるような事は、何もしていない罪人である私の身代わりとなって神様のひとり子であるイエス・キリストが十字架に架かって死んで下さり、私の罪をすべて赦して下さった」と言う事です。

　勿論、こんな事を一方的に言われても殆どの人は意味不明だと思います。「第一、私はそんな神様を怒らせる様な事は一切、していないのに何で「罪人」と呼ばれなくちゃいけないんだ」と思います。まさに、それが私が長い間、全く、分からなかった事です。次回は、この「罪」に関して私なりの説明をしてみたいと思います。

「教会的用語についての私的解釈？」　第６回　賛美

　日立の映画館でソウルの女王と呼ばれている方（アレサ・フランクリン）が教会で行った５０年近く前の実況録音の様子（映像では初公開）を見ました。個人的にはゴスペルはあまり好きではありませんが、全身全霊で神様を賛美する姿に色々、考えさせられました。私は、音痴家族に生まれたと言う劣等感と声が良いと言う理由で無理やり合唱コンクールに出されて緊張感から音を外し最下位になったと言うﾄﾗｳﾏがあり人前では歌いたくないのです。でも、キリスト教から讃美歌を消し去ったら何が残るだろうと思います。そしてキリスト教の礼拝に欠かせないのは、会衆讃美（みんなで歌う）だと思います。変な言い方ですが、礼拝や葬儀、結婚式からみんなで歌う讃美歌を取り去ったら残るのは、牧師が語る聖書のお話（説教）だけになります。

　最近の仏式の葬儀では、御詠歌が歌われる事もあるので歌の有無がｷﾘｽﾄ教の専売特許ではありませんが、それでも、皆で歌うと言う点でキリスト教の讃美歌は、特別だと思います。ただ、昔の讃美歌は、はっきり言って100年以上も前の曲も多く、歌詞も文語体なので私でも意味が分からない事が多くあります。それで現代語に言い換えた新しい讃美歌や今のリズムやメロディーを取り入れた讃美歌もあるのですが、一長一短があります。文語体の古い讃美歌は一音には、一語が多く、歌い易く、覚えやすいのですが現代語に置き換えられるとどうしても日本語の特性から１音に一語で収まらず、どこで伸ばし、どこを短く歌うのかが楽譜を見ないとさっぱり、分かりません。そのため、知っている曲なのに歌えないと言う事になります。

　又、現代のリズムに乗れない中高年にとっては、現代風のアレンジでは、ついていけません。・・・実にみんなで歌おうとすると厄介なのが今の讃美歌事情です。以前、米国に行った時、同時刻にそれぞれ好きな讃美歌を歌うグループに分かれて礼拝を守っている教会を視察しました。そこでは、ｵﾊﾅ礼拝（ﾊﾜｲｱﾝ系の讃美歌）･ｶﾝﾄﾘｰ･ｳｴｽﾀﾝ礼拝（日本で言えば、昔ぽい音楽）、若者専用等とﾊﾞﾗｴﾃｨｰに富んでいました。又、別の教会で若い人たち専用の礼拝に出ましたが、別の地域から来たゲストの讃美や演奏に誰も乗っておらず歌ってもいませんでした。

　つくづく、キリスト教の特徴である讃美歌が多様化し誰にでも受け入れられる讃美歌は少ないと感じました。キリスト教が始まった時から礼拝においてその重要な要素として讃美が歌われてきましたが、きっと万民受けする讃美などは、ないのでしょう。ただ、どんな形態の歌であろうとも教会に来たら、歌わないで帰ると言う訳にはいきません。音痴であっても私の様に本当は歌う事が好きではない人間でも神様に感謝をささげ、神様に新たな決意を伝え、神様の素晴らしさに感動して涙している自分の心を賛美と言う形で表現したくなります。又、より身近に神様を感じる讃美は、礼拝の時だけでなく日常常の生活の中にも潤いを与えるものです。これは、クリスチャンだけの特権ではなく、きっと、どの人にとっても心が揺さぶられ、もしかすると一生、忘れられない讃美歌に出会う事が出来るかもしれません。ぜひ、そんな讃美歌に出会うために礼拝に参加してみて下さい。

「教会的用語についての私的解釈？」　第５回　兄弟・姉妹

　私は、中学生の時、学校近くにある教会に集っていましたが、まさか中学科の先生がその教会の牧師だと言う事は、全く、知りませんでした。何故ならその方を教会の人たちは〇〇兄弟と呼んでいたからです。私がその事実を知ったのは、２５年後、偶然、日立福音にその方が講師として来られた時でした。実は、牧師の事を〇〇兄弟と呼んだり〇〇さんとそのままの名前で呼ぶ教会も多いのです。神戸にいた時、集っていた教会も牧師は、〇〇さんと呼ばれていてどの人が牧師なのか分かるまで時間を要しました。多分、初めての人や教会の事がよくわからない人にとって教会の人たちがお互いを呼ぶ時に使う〇〇兄弟、〇〇姉妹と言う用語ほど、奇異な言葉はないと思います。

　現に私は、初めて大人の礼拝に集い、週報をもらった時、ここには、やけに兄弟や姉妹が多い。それにしても週報に名前が書かれているのが、みな、なぜ、兄と姉だけなのか？弟や妹は、どうしているのだ？と素朴な疑問を覚えました。そして誰と誰が兄弟なのか、あの人たちは顔が似ているから姉妹同士なのだろうけどどっちが姉なのか・・今、考えれば笑ってしまうような事をしばらく、考えていました。そしてある日、気づきました。当時でも北海道ではかなり有名だった作家の三浦綾子さんの事を（いつも私の後ろの席に座っておられました）みんなが、三浦姉妹と呼んでいるのを聞き、兄弟・姉妹とは実際の親族関係ではなく、神の元では家族の一員だと言う事で女性を〇〇姉妹と呼び男性を〇〇兄弟と呼ぶのだと気付きました。そして印刷物では面倒くさいので男性はみな○兄、女性はみな〇姉と書くのだと分かったのです。その時は、最初から週報に書いてくれれば、こんなバカな疑問を持たずに済んだのにと少々、腹を立てましたが、数十年、信仰生活を経てしまうと初めての方やよく教会の事を知らない人がそんな戸惑いを覚えているかもしれない事を忘れ普通に〇〇姉妹、〇〇兄弟と呼んでしまっていると思います。

　考えてみたら、他人同士なのに親族の様に呼び合うのは、変です。この呼び方がいつ頃から始まったのかは、わかりませんが、聖書に既に兄弟、姉妹と言う呼び方が出ていますから初期の時代からお互いの事をキリストを中心とした神の家族だと言う認識で使っていたのだと思います。そして、多分、修道院が発達した時代に男性の修道僧を「ブラザー」と呼び、女性の修道女を「シスター」と呼んで仕事を表す様になったのではないかと推測しています。

　私は外国のミステリーが好きなのですが、英国映画では、司祭の事を「ファザー」と呼び、イタリア映画では「パパ」と呼んでいるのを見聞きします。きっと神の家族として代理父の役割をしていると見なしているのかもしれません。別に呼び方は何だっていいのですが、教会内でただ、兄弟、姉妹と呼びあうだけでなく、実の兄弟や姉妹の様に１つの家族の様に過ごしているかが本当は、とても大事な事では、ないかと思います。実の兄弟姉妹でも仲が良い関係ばかりではありませんが、少なくとも神様の願いは、１つの家族の様に互いを愛し、しかもその家族の中にもっと多くの人たちが加わる事を願っておられる事だけは確かだと思います。

「教会的用語についての私的解釈？」　第４回　神のみこころ②

１）御心と平安

神学校に進む事が御心だと思ったのに突然「二度と以前の様には歩けない」と宣告され、神様の御心がさっぱりわからなくなって毎日、神様に文句を言い続けました。ある日、聖書を読んでいると「あなたが信じるなら神の栄光を見る」と言う言葉が目に留まり、何日もこの言葉が心に残って突然、「よくわからないけど神様が信じていれば栄光を見せてくれると言うなら信じよう」と思う様になりました。すると状況は、日に日に悪化するのに心の中がドンドン軽くなり、未来に希望を抱く様になりました。

２）御心の筈なのに失敗？

心の平安を取り戻した時、突然、手術をしてくれる病院が現れました。私は、「これこそが『あなたが信じるなら神の栄光を見る』と言った意味だ」と信じて手術を受けました。ところが１０か月が過ぎても退院の許可が下りず、外泊許可でクリスマス礼拝に出た翌日、再び全く歩けなくなり「あなたの手術は最初から失敗していて完全に治るまで３年の入院が必要だ」と言う衝撃的な真実が伝えられました。私は、再手術が神様の御心か、確信が欲しくて一旦、外泊許可をもらって家に戻りましたが、どんなに祈っても再手術が御心だとは思えず、何と３年も外泊許可のまま、自宅で過ごす事になりました。（２０年後、実は、この手術が失敗ではなかった事が判明しました。）

３）御心は怖い

3年後、無理やり退院許可を取って私は、神学校に進み、２年が終了した時、牧師から「米国の神学校へ進む準備が整った」と告げられました。ところが、３日後、同じ牧師が「女の幸せは結婚なので2日後、郷津さんとお見合いをしなさい」と言うのです。私は、「郷津さんだけは、勘弁して欲しい」と思いました。私には、郷津さんを嫌になる２つの出来事があったからです。1つ目は、友人たちを食事に招いた時、誘ってもいない郷津さんが付いてくると告げられ、唖然としました。２つ目は、何とお見合いの翌日、先輩と有名ラーメン店に行く約束をしていたのですが、そこにも誘っていない郷津さんが来る事になったのです。（注：郷津さんは、私に興味があった訳ではなく、ただ、おいしい食事が出ると言う噂に踊らされただけでした。）私は、郷津さんとﾗｰﾒﾝ店に行った後、牧師に「神様の御心だとは思えないのでお断りします」と伝えました。すると牧師は「この結婚は神の御心なのでもし、断ったらあなたは、一生、結婚できません」と言うのです。頭に来た私は、「祈って御心でないと分かればすっきりする」と思い、祈り始めました。そして、数日後、「人はうわべを見るが主は心を見る」と言う聖書の言葉がガーンと響いてきて「神様が郷津さんの心を見て私の相手に選ばれたなら、これは従うしかない」と思い結婚を決意しました。

私の経験からわかる事

①状況に関係なく御心なら心は平安を保てる。

②御心であっても悪い結果が起こる。

③御心だと判明するまで時には時間を要する。

④御心は自分の思いや計画が実現する事ではない。

「教会的用語についての私的解釈？」　第3回　神のみこころ①

先日、コロナ禍にあって「うらない学校」が盛況だと言うニュースを見ていて、誰でも自分の未来や進むべき道にアドバイスが欲しいのだと思いました。クリスチャンも自分の未来や進むべき道を求める時、神様の御心（みこころ）が示されるように祈りますが通常、神様の御心は、①聖書の言葉を通じて、➁状況や環境を通して③人からのアドバイスを通して、神様が語られると考えられています。問題なのは、神様の御心が訓練や勉強で判るものではなく、又、他人が「これがあなたへの神様の御心です」と告げてくれる訳でもありません。あくまでも本人が経験を通して知っていくものなので今回は私の失敗談を通して考えてみようと思います。

１）神様のみこころと勘違い

私は、大学1年の秋にクリスチャンになりましたが、牧師から毎週の様に「クリスチャンに対する神様の御心は献身です。」と聞かされ、何も知らない私は、「献身=神学校に進む」と解釈し大学を中退し神学校に進む事にしました。ところが、多くの人たちから「神学校に行くのは、大学を卒業してからでも遅くない」と言われ、それに従う事にしましたが、その後、クリスチャンの恋人が出来て婚約をしてしまいました。それで元々、神学校に進むと言うのは、私の勘違いから出た事だから、辞めたとしても神様は許してくれる筈だと勝手に解釈して神学校に進むのを辞めてしまいました。

２）神様の御心と私のお心

大学4年の時、神様から「お前は、このままで本当に幸せになれるのか？」と問われている気がして、婚約者に「この結婚が本当に神様の御心かを祈ろう」と提案しました。実は、この提案には、魂胆がありました。「相手も牧師になる事を決めてくれれば、何の負い目を感じる事もなく結婚出来るし神様の働きも出来る。みんな、万々歳だ」と。

３）神様の御心と厳しい現実

祈ると私には、神様が「神学校に進みなさい」と示されたのに相手には「牧師になるように導かれていない」と示されてしまいました。私は、それまでの経験から神様の御心に従うのが平安を得られる道だと分かっていたので、相手がどれほど、傷つくのかも考えもしないで「結婚が御心でない以上、別れましょう」と言い放ち、神学校に進む事を決めました。

４）神様の御心と真逆な事態

神学校に入るまでの３週間、実家に戻った私は、突然、足が悪くなり歩行困難に陥り、多くの大学病院から手術も不可能で一生、歩けないと宣告されてしまいました。私は、自分の身に起きた事と神様のみこころの関連が、さっぱり分らず、精神的に大混乱に陥りました。この後には、長い物語（実話）が続くので結末は次回にしますが私の御心を巡る大失敗から分るのは、①神様は勘違いで御心を示される事はない。➁御心を打算を持って求めると飛んでもない事になる。③神様の御心はサイコロやカードをめくって結果が出る様な簡単なものではないと言う事です。

教会用語に関する私的解釈　第２回　断食について

　新聞で「断食」の事を扱った本を良く目にします。昔から断食が身体に良いと言う事は言われてきましたが、最近は特に断食がＤＮＡに働き掛けて様々な病気や不調を改善させると言われています。私は、昔から自分の身体を使って健康に良い事を試すのが大好きですが「断食」だけは、した事がありません。多分、若い時の苦い経験が原因かもしれません。

　大学生の時、友人（付き合っていた人）から「もっと信仰的に成長するために夏休み、５日間の断食をしよう」と提案をされ、私もやってみる事にしました。ところが、その初日、聖書を開いたらイザヤ書５８章でそこには、「形だけの断食を神様は望んでいない」と書かれていました。これは、偶然だと別の箇所を開けると何とそこにも「神様は、断食を求めていない」と書かれていたのです。私は、断食を諦めましたが、約束の５日目が来るのが怖くなりました。６日目、何も知らない友人は、「断食がこんなに素晴らしい経験だとは思ってもみなかった。辛いのは、最初の２日だけで、それが過ぎると今まで体験した事がないほど頭がすっきりして最高の気分になる。君はどうだった？」と言ったのです。私は、「体調が悪くなって５日間の断食は出来なかった」と嘘の言い訳をしましたが、この経験はとても私を惨めにさせて「断食」に関して拒絶反応を覚える様になってしまいました。

　それから何十年も経った頃、軽井沢で行われたある研修会で「断食」に関する信じられない話を聞きました。同室者（元宣教師）が、「聖書に書かれているからと言って、何でもその通りにする事が信仰的ではなくバランス感覚も必要だ」と何度も言うのです。意味が分からずぽかんとしていると「宣教地で何度も悪霊の追い出し現場に遭遇したが、全部、偽物だった。悪霊に取りつかれている人の背中をどんどん叩けば、当然、げぼっとなる。それを見て悪霊が出ていったとみんなで喜ぶ。バカみたいでしょ」と言うのです。　

更にその方は、「私の出た神学校は、卒業までに４０日の断食を経験しなければ、卒業出来ない。でも、それをやったからと言って別に何かが変わる訳ではない」と言うのです。私は、目が点になりました。それまで「イエス様は、４０日間の断食をなさったけど、それは、イエス様だから出来る事で普通の人間には出来ない。」と思っていたので「４０日の断食」を試す人がいるなんって信じられませんでした。彼女は、「辛いのは最初の数日だけで後は頭がすっきりして今まで味わった事のない幸福感に満たされ、この状態が得られるなら、ずっと断食を続けたいと思うようになる。この、断食を続けたいと言う強い衝動との闘いが大変で見守る人が止めなければ、死ぬまでやってしまう」と言いました。もし、皆さんの中で普通では味わえない体験をしてみたいと思われたら５日ぐらいの断食を試されても良いかもしれません。但し、水分だけは取らないと変になるそうで４０日の断食後、一番、大変なのは、徐々に普通食に戻す事で失敗すると確実に死ぬそうです。

教会用語に関する私的解釈　第１回　賛美について

「帝国ホテルなら偽牧師は使わないだろう」と期待して甥の結婚式に出ました。何故、そんな事を思うかと言うと十数年前の姪の結婚式の時外国人の偽牧師が、指輪交換の時に指輪を落とし大理石の階段を音を立てながら落ちていき、唖然とさせられました。でも、きっと当人たちは、忘れているだろうと思っていたら今回、姪の夫が「自分たちは偽牧師に司式をされた」と何度も言い、姪も「はめる前から指輪は傷だらけになり、もし離婚していたら笑い話にもならなかった。」と言ったのです。私は、今回の甥の結婚式で何故、本物の牧師を使いたくないのか、何となく判った気がしました。もう一人の姪の結婚式の時、「超有名ホテルは、すべて10分以内の挙式です」と言われ、夫が３０分以下では出来ないと主張して了承してもらいましたが、ﾎﾃﾙ側にとっては、大変、迷惑な事だったのだと判りました。何故なら、10分で式を済ませてくれなければ、写真撮影に支障が出て披露宴の時間が遅れます。10分で結婚式をするためには、賛美歌を省くしかないが、キリスト教の結婚式に賛美歌が歌われないと格好がつかないので1曲でしかも1節のみにする。今回は、コロナ対策なのか牧師が「歌わないで聞いて下さい」と言ったので私たち以外、誰も歌いませんでした。式の終了後、夫は、偽牧師ではないのだろうけど、結婚式の意味をちゃんと分かっているのかなあと寂しく言いました。何故なら、司式者にとって結婚式は単なるｾﾚﾓﾆｰではなく礼拝式と同じです。（葬儀も同じく礼拝式として行われる。）だから、通常の礼拝とその中身は変わりません。神への賛歌や祈りがない礼拝式が存在しない様に結婚式での賛美も恰好付けで歌っている訳ではありません。

　今回は、「賛美」について私が感じている事をお話したいと思います。実は、私は歌を歌う事が昔から好きではありません。音痴一家に生まれ、自分も音を外す事を知っていたのでもし、ｸﾘｽﾁｬﾝにならなかったら人前で歌うと言う事は、なかったと思います。多くの方は、牧師家には賛美が溢れていると思われるでしょうが、我が家に限っては全く違います。歌う事も聞く事も殆どありません。こんな私ですが、礼拝で賛美をする時は、変貌します。自然に大きな声になり、顔も無意識のうちに笑顔になり、楽しそうに歌っています。毎回、そうなります。自分でも何故、そうなるのか判りませんが、多分、子供の時の体験がそうさせているのだと思います。私が生まれて初めて礼拝に出た小１の時、大人の人たちが心を合わせ、真剣に精一杯、賛美をしている姿に「本当に神様は生きているのだ」と感じました。そしてその記憶が強烈に私の思い出として残りました。小１の私は、信仰姿勢が賛美の中に現れる事を体験的に知ってしまったのです。

　この話を最近、夫に話したら「その時の教会の牧師は、超有名な人で霊的に素晴らしい働きが、なされていた時代に君が礼拝に出て素晴らしい賛美を聞いたのだろう」と言っていました。私は、この経験があるので今でも共に集う人々に神様の臨在をしっかりと感じて頂ける様な賛美がささげられる一人になりたいなあといつも思いながら賛美をしています。